整体院・鍼灸院・治療院の広告表現規制について

コラムをご覧いただきありがとうございます。
クリニックエール代表の篠木です。
今回は、整体院等における広告の制限についてお話ししていきます。
法律にも関わる問題となっていますので、気付かぬうちに法を犯していた、なんてことのないように知識を身につけておきましょう。

広告の定義と種類

本題に入る前に、今回の基礎知識として広告の定義・種類についておさらいしていきます。

広告の定義

整体院における広告の定義は、

  1. 誘引性・・・客を誘引する意図があること
  2. 特定性・・・施術者の氏名または施術所の名称(住所)が特定できること
  3. 認知性・・・一般の方が認知できる状態であること

とされています。

広告媒体の種類

広告媒体としては、以下のようなものがあります。

  • チラシ、パンフレット、新聞等の出版物
  • 看板、ポスター
  • ホームページ、バナー広告等(Webで見ることができるもの全般)
  • ダイレクトメール
  • 不特定多数への説明会、相談会等

これ以外にも広告に用いられる媒体はありますが、整体院ではこの中で、前述の定義を満たすものが「広告」とみなされます。

広告表現規制とは?

ここから本題に入っていきますが、まずは広告表現規制とはどういったものなのでしょうか?
「広告表現規制」は、以下の法律に基づいて定められています。

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師に関する法律(通称あはき法)

こちらはご存知の方も多いのではないでしょうか?
主な内容としては、

  • 免許を所持していること
  • 文部科学省が認定した学校・施設に3年以上通い、その後に国家試験に合格しなければならない
  • 外科手術や薬品の投与をしてはならない。医師の同意を得ずに、骨折等の患部を施術してはならない

などを定めている法律です。
広告のガイドラインについても定められており、
「施術者の技能・方法・経歴などを広告にしてはならない」と記載があります。

医薬品医療機器法(旧称薬事法)

医薬品や医療機器の有効性・品質を損なわないための法律です。
サプリメントや健康食品等を扱っている場合、これらの効果・効能を表示することは違反となります。
例)1日1錠内服するだけで5kg痩せます など

景品表示法

景品とは、

  1. 顧客を誘引するための手段として
  2. 事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する
  3. 物品、金銭その他の経済上の利益

と定められています。(消費者庁ホームページより引用https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/premium_regulation/

景品や表示につられて商品を購入させる、契約させるなどの消費者にとって不利益となることを防止するものです。
例)北海道産〇〇使用と記載があるのに、実際にはアメリカ産だった など

ただし、現時点ではホームページや院内の掲示物等については規制の対象外です。
主にチラシ、看板等の外観、バナー広告などの不特定多数の人が目にする広告が規制の対象となるので注意しましょう。
また、広告できる内容についても細かく定められています。

整体院等において広告できる内容

広告内容は法律によって決められています。

  1. 柔道整復師、はり師、きゅう師、マッサージ師、あんま師等である旨
  2. 施術所の名称、電話番号、所在の場所(住所等)を表示する事項
  3. 営業日、営業時間
  4. ほねつぎ(または接骨)
  5. 医療保険療養費支給申請が可能な旨
    ※ただし、誤解を招くような表現、金額の記載は不可
    例)マッサージ、鍼灸の場合は医師の同意が必要となる旨を記載
  6. 予約に基づく施術
  7. 休日、夜間における施術
  8. 出張による施術
  9. 駐車設備に関する事項

広告表現規制の目的とは?

どうしてこのように、広告が規制されることになったのか。
一番の目的は「患者(消費者)の保護」です。
大袈裟な広告や偽りのある広告を表示することで、患者が被害を受けることがなくなるようにこの制限が設けられました。

改定医療広告ガイドラインとは?

「医療法」という法律を、内容にかかわらず耳にしたことがある方は多いかと思います。

これまでの医療法では、広告に関する規則が定められていませんでしたが、2018年6月に医療法が改正され、ホームページ、SNS等を含むWeb広告についての規則が新たに提示されました。

「医療法」については、改正前も改正後も医師・歯科医師を対象としたもので、整体院等の施設は含まれていません。
ではこの法律は整体院等には関係ないのではないか?と思われた方も多いでしょう。

しかし、この改正医療法に基づいて2018年6月に施行されたのが「改定医療広告ガイドライン」。これは明確に対象者を定めておらず、「Web上に表示されるものの医療に関する全ての表現」が対象となっています。
つまり、整体院等でも医療に関する表現をした場合には、規制の対象となる、ということです。

どうして改正医療法で広告の項目が増えたのか?

美容医療を例に取り上げてみたいと思います。
近年、美容医療が進歩し世間的にも流行していますよね。
しかしそれと同時に、消費者トラブルも増加していきました。

消費者は
「必ず痩せると書いてあったのに効果がない」
「3回で治療終了と書いてあったのに終わる気配がない」
など、ホームページや広告を見て行ったにも関わらず実際には異なる治療であったり、効果が得られないこと等があり、このような相談が増えていきました。

これを受け、広告に関するルールの明確化や虚偽の広告を減らすために医療法が改正され、消費者の誤解を招くような表現や大袈裟な表現は禁止されました。

広告に関する法律に違反するとどうなるの?

医療広告ガイドラインに違反すると、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。
罰則をきちんと受けたとしても、整体院等の利益や信頼の低下はこれだけでは済まされませんね。
続けていくことすら難しくなってしまう可能性も否定できません。

広告運用において注意すべき点

「改定医療広告ガイドライン」を踏まえて、広告規制の対象となる表現について詳しく見ていきましょう。
今後の広告運用において、最も重要な項目となります。

医療機関と誤認されるような表現

医療・医業はあくまで医師免許を所持している医師が行える行為です。
それを連想させるような表現、言葉の選択はしないようにしましょう。
例)治療、診察、問診など
実際には医療行為を行なっていなくても、このような言葉で表現することによって医療・医業を行なっていると誤解を招く可能性もあります。

交通事故での受傷や怪我については、あはき法でもあったように医師の同意を得た上で行なっていますよ、ということをしっかりとアピールしましょう。

虚偽の広告

  • 「絶対に」「必ず」といった言葉を使うこと
  • 「〇%の人が効果を実感」
  • 加工した写真を掲載すること など

世の中に「絶対」はありません。根拠のないものや事実と反するものは掲載してはいけません。

誇大広告

「〇〇が治る」「1週間で改善」のような表現を用いた広告のことを指します。
大袈裟に記載することで、消費者に誤解を招いてしまうような表現はしないように心がけましょう。

比較優良広告

「日本一人気の〇〇」「県で一番の患者数」「他の〇〇とは違い、、、」などの表現を用いた広告です。
他の施設と比較するような内容や、優れていると思わせるような言い回しはNGです。

品位を損ねる広告

「〇〇円で施術できます」「キャンペーン中」など、金額を強調した広告です。
また、「全員に〇〇を差し上げます」などの施術に関係のないことで客を誘引することも規則違反となります。

施術に関する広告

こんな施術をしている、などと広告を用いてアピールすることは規則違反です。
「〇〇式施術」「〇〇法」というような作法を持ち出すのも避けましょう。

施術前後の写真や口コミ

よく見かける手法ですが、施術前の写真と、施術後の写真を並べて掲載することで、効果や有効性を強調するような内容であったり、客の体験談、口コミなどを載せることもガイドラインに抵触してしまいます。

芸能人・著名人を持ち出しての広告等

「芸能人の〇〇さんが来院された」「〇〇テレビで紹介されました」
 こういった内容は記載したい気持ちもわかりますが、ここでは広告の規制違反となるので気をつけましょう。

その他、「〇〇治療専門」などの持ち出し方も規制対象となっています。
また、健康保険適用のものと、自費のものはしっかりと区別し、わかりやすく、誤解を招く表現はしないようにしましょう。

広告可能事項の限定解除要件とは?

これまで、規則に関することや記載してはいけないことなどについてお話ししてきましたが、実はある要件を満たせば広告可能事項が解除される、
というものも定められていますので、ご紹介します。

  1. 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること
  2. 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること
  3. 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること
  4. 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること

(厚生労働省資料 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)より抜粋
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000209841.pdf

患者等が自ら求めて入手する情報を表示

患者が自分で調べて見るものであれば、ウェブサイトや資料請求でのパンフレット等も規制解除となります。
ただし、インターネット広告は対象外ですので、バナー広告は規制の対象となります。

問い合わせ先を記載すること

患者が問い合わせるための電話番号やメールアドレスなどは記載して良いとされています。

自由診療に関わること

自由診療は保険適用ではないため、治療費や施術中のリスクに関することについては記載可能です。

まとめ

今回は、広告表現規制やそれに伴い覚えていて欲しいことについてまとめました。いかがでしたか?中には、学生時代に勉強していたこともあるかもしれませんね。

自分の院は小さいから大丈夫などと考えていても、明日は我が身です。
ネットパトロールにかなりのお金を費やしているようですから、いつ注意喚起されてもおかしくない状況と言えます。

上記に当てはまる項目があった場合、速やかに削除・修正をしましょう。
また、法律や規則は今後も改正され続けていくかと思いますので、整体院、治療院の価値や信頼を下げないためにも、時々チェックするように心がけましょう。
もっと詳しい内容が知りたい!という方、サイトの修正をしなければ!という方は、ぜひお気軽にお問合せくださいませ。